こんにちは。そろそろ梅雨前線が本気出してきましたね。鹿児島じゃ600mmを超える記録的豪雨だとか・・・。
それでは、このところ牧場で行われている土木工事のお話を。ちなみに鹿児島の話は立派な伏線です。
私がこの牧場に初めてやってきた4月から気になっていたのが、牧場のあちこちにあった崩落箇所でした。理由は雨水による侵食だとのこと。実はこの辺りの土は表面の粘土質の下に花崗岩の風化してできた真砂土というものがありまして、これが水の流れに弱い弱い。時折降る大雨のときなどはものの10分で深い溝ができ、すぐに土が下の川へと流されてしまいます。

これが進めばどんどん山が削られてしまい、私たちにとっても、牛たちにとっても安心して暮らすことが出来なくなってしまうわけです。
ということで、来るべき梅雨を前に防災のための土木工事が始まったのでした。しかし、所有している山とはいえども土木工事は勝手にはできません。そこで東京の本社では長い時間をかけて岩泉町と交渉し許可を取得したのでした。
さて、本題の工事ですが、現在はバックホーとクローラーダンプが2台ずつ、ひっきりなしに動き回っています。

これらの重機を運転しているのは牧場スタッフです。はじめはとてもぎこちない動きでしたが、日を追うごとにどんどん上手くなっていくのが素人目にもわかりました。それに本社の支援もあって次々に大型特殊免許をとり、どこの現場へいっても通用するべく腕を磨いています。将来、ここから全国の牧場へと派遣されていくことになる彼らの成長は、企業農業研究所にとっても大きな財産となるはずですからね。
・・・閑話休題。
工事のほうは大量の土を移動することになります。これは農地の場合には規制があるそうなのですが、牧場という敷地に関しては特に制限はないそうです。で、比較的平坦な部分の土を削って、土留めを施した崩落箇所へ移動して埋め立てるというのが基本方針です。
ただ、そうしている間にも変わりやすいのが山の天気です。さっきまでお日様が出ていたと思えばいきなり大雨に叩かれてしまうこともしばしば。工事中に雨が降れば、まだ鎮圧していないやわらかい真砂土が一気に流されてしまいます。牧場の下にはイワナ釣りの隠れたスポットとなっている沢がありますが、そのままでは流された土が沢に流れ込み、せっかくのきれいな水を汚してしまいかねません。そこでそうした事態への対策もしっかりと施しています。山が持つ自然のサイクルと酪農との共生を失っては中洞式山地酪農とはいえませんからね。

これは主要な水の流れの途中に作った沈砂池(ちんしゃち)の画像です。この大きく掘った池に水を一旦溜めることで土砂を沈殿させ下流への流出を防ぎます。この沈砂池、なんと人が落ちたら自力で這い上がることはまず無理だとか・・・。中洞牧場長がそう脅すもんだから写真を撮るために近寄るのにも足がすくんでしまいました。またこれ以外にも、水路となっている土にブルーシートをかぶせ水がその上を通るようにするなど、土砂の流出を防ぐためにもいろいろな工夫を凝らしています。
上記のことは、土木作業のプロの方たちには当たり前のことなのかもしれませんね。ただ、今牧場でこうした作業を行っているのは皆「酪農家」を目指してがんばっているスタッフたちです。それぞれ酪農家として自立していくために必要とされる知識や技術の幅広さを、私も含め皆改めて感じている毎日であります。